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「嵐の中でイエスは」 マルコによる福音書4章35~41節

2015-07-19

 イエスは、ガリラヤ湖に船を出して、その船に腰を降ろして、大群衆に向けて大きな声で話始められました。 有名な四つのたとえを語り、「あなたがたに神の国の秘密が打ち明けられている」と言われたのでした。 その直後、「向こう岸に渡ろう」と自ら言われて、漕ぎ出した際に起きた出来事が今日の聖書箇所です。 向こう岸に渡るその途上で、「突風を静める」という奇跡を、また向こう岸である異邦の地に渡って、「ゲラサ人をいやす」奇跡、「イエスの服に触れた女性をいやす」奇跡、「ヤイロの娘をいやす」奇跡を次々と起こされたその最初の奇跡が、今日の聖書箇所です。
 イエスは、大群衆に向けて大声で語り、大変お疲れになったのでしょう。 船の艫の方で枕をしてぐっすりと眠っておられたと書かれています。 自ら、向こう岸に渡ろうと船を出して、後は弟子たちに託して穏やかに眠っておられるのです。ガリラヤ湖に手慣れた弟子たちでさえも、目の前に突風が吹き、波が襲いかかり、なすすべがない。 この嵐は手に負えないと分かり始めた時のことです。 順風の航海中には、その存在すら眼中になかったイエスを思い起こします。 この船出は、イエス自ら渡ろうと言われたことではないか。 そのイエスが、船の艫の方で枕をして眠っているではないか。 「先生、わたしたちがおぼれてもかまわないのですか」 弟子たちは嵐の中で、「何もしないイエス」、「眠っておられるイエス」に鉾先を向けます。 目の前の恐れからだけではなく、イエスに対する憤りすら感じさせながら叫んで、穏やかに眠っておられるイエスを突然起こしたのです。 この弟子たちの乱暴な叫びに、イエスはそれに応えて起き上がられたのです。そして、先ず、「風と湖と波」に向って、まるで人に語るように叱ったと書かれています。 イエスは、弟子たちを「恐れと憤りと不安」に陥れているものに向って、「黙れ、静まれ」と叱ったのでした。 それと同時に、弟子たちに「なぜ怖がるのか。 まだ信じないのか。」と言われたのでした。 たった今、あなたがたは、神の国はこのようなものであるとその福音を、すぐそばで聴いていたはずではないかと叱られたのです。
 しかし、弟子たちは慌てていたとはいえ、イエスが一緒にこの船に乗っておられることを思い出したのです。 そして、眠っておられるイエスを呼び起こしたのです。 そして、この嵐をイエスとともに体験したのです。 イエスに対し信頼を置いていたと思っていた。 ひと度、事が起きてしまえば消えてしまうような、自分の信仰の足りなさを思い切り知らされたのです。 その弟子たちの叫び声を、イエスは聞いて起きてくださった。 一緒に、嵐の中を、向こう岸に向けて導いてくださった。 「先生、わたしたちがおぼれてもかまわないのですか」 この恥ずかしい叫びを、弟子たちがわざわざここに書き遺しているのは、この出来事によって神への信頼を求めることを心の底から知った。 弟子たちの本当の向こう岸への旅がここから始まったからなのではないでしょうか。 「イエスの沈黙」、「イエスの眠り」は、私たちの信仰を揺り動かすためです。 たとえ、周囲の状況が何も変わらなくとも、このイエスと共にあるという平安があります。 私たちの信仰が揺らいだ時に、イエスは起き上がられます。 「黙れ、静まれ」と、私たちの心の奥であやつるこの世の霊を静めてくださいます。 そして、「まだ信じないのか」と私たちを叱ってくださいます。 これこそ、本当の恵みなのではないでしょうか。 私たちの口に、新しい賛美の歌を授けるためです。 私たちの耳を開かせるためです。 「眠っているイエス」が、私たちを揺り動かして、私たちの信仰を目覚めさせておられるのです。



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