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「神の恵みによる実」   ルカによる福音書6章27~36節  

2013-07-07

「神の恵みによる実」   ルカによる福音書6章27~36節  
 ノーベル平和賞を受賞されたキング牧師は、「汝の敵を愛せよ」という説教の中でこのように語っておられます。 「憎しみに対して憎しみをもって報いることは、憎しみを増すのである。 憎しみは、憎む人、憎まれる人どちらの魂にも傷跡を残し、人格をゆがめる。 愛は敵を友に変える唯一の力である。」 イエスは、「あなたの頬を打つ者には、もうひとつの頬を向けなさい。」と語ります。 更に、そのために「悪口を言う者に祝福を祈りなさい。 あなたがたを侮辱する者のために祈りなさい。」と言います。 これはもう実行不可能である。 そう思うから、私たちはこのイエスのみことばから目をそらし、棚上げして横に置いてしまうのです。 私たちにできないからこそ、イエスは語ります。 私たちがどうしても赦すことができない、愛することができない相手であるから、神の力と神の業が必要なのです。 イエスは、「しかし、あなたがたは、敵を愛しなさい」と、群衆に取り囲まれている弟子たちに語られたのです。 群衆とは、悲しみや苦しみを背負いながら、なんとかして活路を求めようとイエスのもとについて来た人々です。 その一人一人の貧しさや飢え、悲しみや苦しみに取り囲まれた弟子たちに向けて、イエスはこのみことばを語られたのです。 イエスは、「自分を愛してくれる人を愛したところで」どんな恵みがあろうかと言います。 そんなことは、罪人でも同じことをしているではないか。 あなたがたの天の父は、悪人にも善人にも太陽を上らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださるお方である。 相手の出方によって、相手の価値によって左右されない「愛」を与えてくださるお方である。 あなたがたは、「いと高き方の子となる。」 あなたがたは、神の子として受け入れられ、愛され、そのいのちを受け継ぐ者とされるとイエスは語るのです。 この「神の恵み」としか言いようのない敵も仲間もない「愛」を語るのです。 私たちは、自分を愛してくれるもの、愛する理由のあるものだけを愛します。 しかし、イエスは、十字架の福音によって、敵も仲間もない神の恵みに根ざして、愛しがたい者を愛していく道を開いてくださいました。 自らを殺そうとしている者たちのために「お赦しください」と執り成しの祈りをささげることによって、赦しがたい者を赦していく道を私たちに開いてくださいました。 頬を打ってくる相手に、「自分の愛」や「自分の頬」を向けたところで、人間同士のことにすぎません。 しかし、「神の恵み」に目指したイエスの「無条件の愛」を差し出そうとするなら、根本的に違います。 私たちが持ち合わせていないもう「ひとつの頬」です。 「神の恵み」が、私たちの欠けたるところに「神の愛」を注ぎ込んでくださる。 「我らに罪を犯す者を我らが赦す事ができるように」と祈る者にしてくださる。 私たちは、この神の憐れみと恵みに突き動かされて、もうひとつの「神の愛」という「頬」を、喜んで進んで差し出しましょう。 そのことを感謝して参りたいと願います。 



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