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「ハンナの祈り」 サムエル記上1章21~28節

2012-10-28

 エルカナという一人の豪族が住んでいました。 彼にはハンナとペニナというふたりの妻がいました。 ペニナには子どもがあったが、ハンナには子どもがいなかった。 エルカナは、毎年、刈り入れの祭りの頃になると、シロという町の神殿に家族を連れて行き、動物の犠牲をささげ、イスラエルの神を礼拝することを常とした忠実な人でした。 子どものいないハンナの苦しみを知って、エルカナはハンナをいたわった。 しかし、そのことがペニナの反感と嫉妬と不満を引き起こします。 ペニナはハンナを思い悩まし、ハンナはペニナのことで苦しんだと聖書にあります。 ハンナの祈りは「どうかわたしに男の子を授けてください」という、神の前に心からの願いをぶちまけた長い祈りでした。 祭司エリが、彼女は酒に酔っているのだと思うぐらい、深い悩みをもった苦しみを訴える祈りでした。 ハンナはある意味で、その時代の社会のひずみを一身に引き受けていたのかもしれません。 子のない妻の苦しみを味わされ、悲しみをつぶさに経験をした女性です。 しかし、ハンナには、神に対して直接祈るという信仰がありました。 恨みや悲しみを越えて、神に祈り続けることができた女性でした。 最初は、男の子さえ授かればすべてが解決するという願いであったかもしれません。 ハンナは、子が授けられるということが、神のみこころの中にあることに気づかされました。 重大な決意をもって神に訴える「祈り」が与えられました。 そのハンナの「祈り」が、「もし男の子を授けてくださいますなら、その子の一生を主におささげします。」というものでした。 この「祈り」が備えられたハンナに、一人の男の子、サムエルが与えられました。 神がハンナに祈りと願いを与えて、そしてサムエルを与えることによって、ハンナに用意された「祈り」に立って歩むことを、神は迫られたのです。 あれだけ望んでいた一人息子でした。 相当な誘惑があったでしょう。 しかし、ハンナは、神から与えられ「祈り」に立って、乳離れと同時にたった一人のサムエルを手元から離して、祭司のもとに残して、ハンナはふるさとに帰って行ったのです。 「わたしは、この子を主にゆだねます。 この子は生涯、主にゆだねられたものです。」という「祈り」に徹したのです。 事実、ハンナは、サムエルのために、小さな上着をつくり、それを毎年、神殿に持参することが常であったと書かれています。 神がハンナに祈りとねがいを与え、幼子サムエルを与えた。 そのサムエルをハンナが神にささげて、神がイスラエルの歴史の重大な危機に備えられたのです。 神は、ご自身のご計画を進められるために、一人の敬虔な母親の「祈り」を必要とされたのです。



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