秋田バプテスト教会 |公式ホームページ

キリスト教や聖書、結婚式や葬儀も相談できるキリスト教会です。

「狼の群れと小羊」 ルカによる福音書10章1~12節

2020-10-18

 ルカによる福音書では、イエスがこれから送り出す72人の弟子たちはいったいどのような者たちであるのかをご自身の言葉でこのように語っておられます。 「あなたがたこそ、収穫のための働き手である」と言います。 聖書で「収穫の時」と言えば、この世の終わり、神の国が完成される時という比喩です。 神の恵みがこの世をすべて支配する時がやってくる。 そのための「働き人」だと言われるのです。 「収穫」の比喩を用いて、神がご支配される時がすぐそこまで来ている。 その「時」に備えるための派遣である。 神の大いなる恵みの業に備えるために、多くの働き手がともに遣わされて行くように祈り願いつつ行きなさいと、緊迫感を漂わせてイエスは弟子たちを送り出されたのです。 もうひとつこのようにもイエスは72人の弟子たちを表現しています。 「あなたがたは小羊である。 これからあなたがたを遣わすのは、狼の群れに小羊を送り込むようなものだ。」と言います。 力の強い者、迫害する者、抵抗する者の危険の只中に丸腰で、弱い者、無防備な者として送り込まれるような労苦の多いものだとイエスが言っているように聞こえます。 「財布も袋も持っていくな。 何も持つな。」と言われているのでなおさらです。 果たして私たちはこのみ言葉を、弟子たちの覚悟を一層求めたものと受け止めるのでしょうか。 
 ルカだけが十二人の弟子たちの後に、72人の弟子たちを遣わした際のイエスが語られたみ言葉を書き残しているのです。 72という数字は、全世界の民に向けての数字であるかもしれません。 神の国はすでに来ている。 「シャローム、神の平和」が成し遂げられている。 さあ、わき目もふらず全世界に向けてまっすぐに家や町に伝えなさい。 その喜びの知らせに家や町が応えることを神は求めておられる。 受け入れる家や町と、拒む家や町に真っ二つに分けられる時がすでにやってきている。 そのためのあなたがたの働きである。 その働きが「狼の群れに小羊を送り込むようなものだ」と言われているのです。 イエスは旧約聖書に熟知し、メシアの誕生の預言をご自身の誕生として読み取っておられます。 メシアは、「主を畏れ敬う霊に満たされる。 弱い人のために正当な裁きを行い この地の貧しい人を公平に弁護する。」(イザヤ11章) そして、次のような神の国が訪れると預言されているのです。 「狼は小羊と共に宿り 豹は子山羊と共に伏す。 子牛は若獅子と共に育ち 小さい子供がそれらを導く。 牛も熊も共に草をはみ その子らは共に伏し 獅子も牛もひとしく干し草を食らう。 乳飲み子は毒蛇とともに、また幼子は蝮とともに戯れる。」 そのような驚くべき信じることができないような「神の平和」の世界が、メシアの誕生ととともにこの悲惨な現実の世界の只中に訪れることになると、イザヤは幻を見ることができたのです。 イエスもまた、このイザヤの預言をご自分のこととして受け取られて、このような神の恵みの支配の世界を確信したのでしょう。 ですから、「あなたがたを送り出すのは、そのような狼の群れとともにある世界を築くためである。 狼の群れに気をつけなさいではなく、恐れないで神の平和を築き上げるもう一方の当事者である狼の群れのところに行きなさい。」と送り出されたのではないでしょうか。 最も危険な場所、耐えがたい場所と思われるようなところが、最も驚くべき出来事、神の平和の現実を味わう場所に成り変わる。 この神との平和は、小羊と小羊の間だけではない。 神の平和など起こり得ないと思われるような所、狼の群れと小羊の間に起こされるのです。 これが神の恵みの支配される神の国です。 それが受け入れられるところに行って、「時は満ち、神の国はあなたがたに近づいた。 悔い改めて信じなさい。」と語るようにとイエスは弟子たち、私たちを送り出しているのです。



バナー
バナー

お知らせ

過去の記事



〒010-0917
秋田市泉中央3−2−1
TEL/FAX 018-862-5357(教会)
TEL 018-863-4228(幼稚園)
牧師 村上悦二
協力牧師 渡部元