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「天に記されているわたしの名」 ルカによる福音書10章17~20節 

2022-03-27

 イエスが12人の使徒たちを遣わされた出来事は、マタイ、マルコ、ルカによる福音書に記されていますが、72人の弟子たちを遣わされた出来事が記されているのはこのルカによる福音書だけです。 12という数字は、イスラエルの部族の数でしょう。 72という数字は、世界を表していると言われています。 ルカは12人を遣わす時に「『イエス』は十二人を呼び集め、神の国を宣べ伝え、病人をいやすために遣わされた」と言いますが、72人を遣わす時には、「『主』はほかに72人を任命し、御自分が行くつもりのすべての町や村に二人ずつ先に遣わされた。」とあります。 『復活されたイエス』が72人を全世界に向けて遣わしたのだとルカは語るのです。 この時イエスは、「狼の群れに小羊を送り込むようなものだ。」と言われるぐらい、周囲には激しい抵抗や迫害があったのです。 イエスはそのことを承知のうえで、「悪霊に打ち勝ち、病気をいやす力と権能」を弟子たちに授けたと言います。 「悪霊」とは、神のもとから人々を引き離そうとするすべての力です。 『復活されたイエス』は、この霊との戦いにすでに打ち勝っている。 「わたしは天と地の一切の権能を授かっている。 あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい。 あなたがたに耳を傾ける者は、わたしに耳を傾ける者である。 あなたがたを拒む者は、わたしを拒むのである。 わたしを拒む者は、わたしを遣わされた方を拒むのである。」と言われているのです。 ところが、イエスの心配をよそに、72人の弟子たちは喜んでイエスのもとに戻って来た。 「主よ、あなたのお名前を使うと、悪霊さえもわたしたちに屈服します。」と、意気揚々と喜んでいるのです。 イエスは、弟子たちがおこなったことを喜んでおられるのではありません。 イエスご自身の権威と権能を弟子たちに授け、遣わすことによってご自身が働いておられるのです。 弟子たちを通してご自身の名によって神ご自身がなされたこと、神ご自身のみ心が愛する弟子たちによって果たされたことを喜んでおられるのです。 イエスは、「悪霊があなたがたに服従するからといって、喜んではならない。 むしろ、あなたがたの名が天に書き記されていることを喜びなさい。」と言われます。 旧約聖書の中にも、神ご自身が書き記している「命の書」がある。 それに、あなたがたは登録されている、書き記されていると言うのです。 「あなたがたは、わたしによって遣わされて、わたしの権威と権能を授かった。 それが、もうすでに神の名簿に登録されたことである。 ゆえに、一つ一つの祝福の結果、見える恵みの出来事を喜ぶのではなく、もうすでに神の民とされている事実、そのような神の恵みの場に置かれていることに、あなたがたはむしろ喜びなさい。」と言われるのです。 「わたしたちの名前」とは、自分が自分であることを赦されていることです。 神ご自身が、ひとりの人格としてこの地上の命を与え、又とない唯一の存在として明示されている事実です。 何かいいことをしたら、神に認められたら「天に書き記される」と言っているのでしょうか。 神の御前においては、良いところも悪いところも、貧しさも豊かさも、プラスもマイナスも丸裸です。 隠しようがありません。 すべてが刻み込まれた「わたしたちの名前」です。 ペトロも、ユダも、トマスも皆同じ揺れ動く存在で、神のみ前では大差ありません。 神は何らの条件も付けず、そのままで受け入れ、赦してくださっているのです。 私たちはそのありのままの姿を差し出して、神の恵みによりまったく条件が付けられていないそのところで生かされていること、これが信仰者の歩みなのではないでしょうか。 神の国と同じように、そのままの名前を名乗り合うことができる世界が、この地上に訪れたとイエスは語るのです。 



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